自寺改革 〜次世代を担う若手僧侶が綴るリレーエッセイ〜

葬祭業界の業界誌「月間フューネラルビジネス7月号」に寄稿する機会をいただき、テンプルモーニングについて触れさせていただきました。
編集部に掲載の許可をいただきましたので、紹介させていただきます。

 

 

お寺のゴールデンタイムは朝です。

朝日に照らされた本堂。

まだ、車も人の通りも少なく静 まりかえる境内。

朝の凜とした静謐な空気のなかに鳥のさえずりが響く。

深く息を吸い込むと、清らかな何かが自分 の中に入ってくるような感覚になる。

そんな空間に身を置いて、1日をスタートしてみたいと思いませんか?

 

いま、全国各地で少しずつではありますが、お寺で朝掃除の会「テンプルモーニング」に取り組むお寺がふえてきています。

 

私が住職を務める寺もその1つです。月に1、 2回で毎回約1時間、参加者の方々とお経と掃除、お話をして過ごしています。

初回は参加者がおらず、私だけでした。

中止にしようか とも思ったのですが、せっかくなので1人テンプルモーニングをやってみました。

すると、いままでは気がつかなか った自寺の魅力に気がつくことができました。

そこでつかんだ手応えを頼りに、参加者の多寡は気にせず、「いつで も自分1人は参加している。

参加者ゼロはありえない」と思い淡々と続けています。

 

テンプルモーニングの利点の1つに、取り組む側と参加 する側、双方にとっての「ハードルの低さ」があります。

寺側としては、朝のお経、掃除、お話は日常的に行なっていることですから、それらを持ち寄ればテンプルモーニ ングとなります。

極端な話、住職がその気になれば翌日からはじめることも可能です。

 

参加する側からすると、お経とお話だけでなく「掃除」 が入っていることがポイントです。

お経とお話だけだと“お客様扱い”を受けていると感じてしまい居心地が悪いようですが、掃除をしてその場に貢献できたという実感を得ることによって、掃除した場所が居心地のよい場所になり、 その後、お茶を飲みながらのお話の時間も気兼ねなく楽しむことができるそうです。

参加者に感想を聞くと「、自分の修行だと思っている」「ご先祖さんの供養に来ている」「お寺で朝掃除は気持ちがい い」というような声が多く聞かれます。

そのうちの1人になぜ来はじめたのかを聞くと、

「忙し い日々のなかで心が波立ってしまうことが多かった時期、 毎日の習慣になっている家の仏壇に手を合わせている時間 は、自分の心が落ち着いていることに気がついた。それか らお寺に行きたいと思うようになった」

と話してくれました。

 

時代が変わっても、寺に求められている本質的なものは 変わっていないのだと思います。

めまぐるしく変化を続ける現代においては、仏教、寺のもつ普遍的な価値が見直さ れていくのではないかと思っています。

そして、その変わ らぬ価値と変わる時代の間に立って、両者をつなぐのが僧 侶の役割だと考えています。

 

ここまで書いてみて、“変わるべきは寺ではなく、私の 側である”ことに改めて気づかされます。

“変わらないために変わり続ける”

そんな気概をもって、テンプルモーニ ングをはじめ、さまざまなことにチャレンジしていきたいと思っています。

 

【月間フューネラルビジネス2019年7月号掲載】

Follow me!